2011年7月16日

安心な果物を皮ごと食べたいから果樹も作ります

7月13日に私がロケットストーブで調理した料理。自家製野菜がいっぱい♪

あべっちです。
突然ですが私,果物が大好きです。
しんじられないかもしれませんがお寿司やサーロインステーキよりも好きでして。
そんなわけで今回はどうして私が「果物を作りたいと思ったか」の話をさせてください。


「りんごは皮と実の間に栄養がたっぷりあっておいしいんだよ」

親にそう教えてもらったときから,私は林檎の皮を剥かないで食べるようになった。
皮ごとたべることで歯も鍛えられるような気がしたし,皮を剥く手間も無い。
また,包丁の匂いがうつることもないし皮の処理にも困ることがないし,
なにより無駄が無くて美味しかったからだ。


子供時代を通じて親がいつでもバスケットに果物を買いそろえていてくれていたので,
私はずっと,果物はお菓子よりも安いと勘違いしていた。
オレンジやみかんなら1日5個,林檎や青リンゴなら2つ,西瓜なら半分食べた。
冗談抜きで,これを毎日続けていた。 今思えば家計を圧迫していたと思う。

時が経ち,1人暮らしを始める18歳頃になるとまた新たな情報が入ってきた。
果物の皮には農薬がしっかりと降りかかっているのでなるべく食べない方が良い。

これまで信じていた情報と真逆。でも今はそういう時代なのか,と納得した。
こうして皮ごと食べるという私の素敵な習慣は農薬使用の事実を知ることで終わった。

その後,1人暮らしを10年間続けたのだけど果物を食べる機会は減っていった。
見た目が綺麗でぴかぴか光っているのを見るとそれが農薬に見えて仕方なかったのだ。

更に時は経ち,何度か恋愛を経験して後,ワイフであるゆき坊さんと一緒になった。
食費を月2人で2万円と決めたことで外食は出来ないけど自然と手料理の数が増えた。

食べ物を無駄にしたくない,長く美味しく食べたい。
そんな生活の中で奧さんがよく作ってくれる有効な保存食がジャムだった。


左:苺ジャム 真ん中:オレンジのジャム 右:プルーンジャム
苺,プルーン,いちぢく…季節によっていろんな色のジャムの瓶詰めが並ぶ。
この中でとりわけ私が気に入ったのはオレンジやキンカンなどの柑橘類のジャムだった。


柑橘類のジャムは少しの手間ひまをかけることで皮も柔らかくなる。
皮ごとだから贅沢で,美しくて,そして美味しい。
太陽のような黄色い色,合成の香りとは全く違う自然な香りがあり,
得体の知れない添加物が一切入ってない気持ちよさ。だって手作りだもの。



このジャムを焼いてくれた丸パンにつけて食べる。おいしい!



…しかし,私はここで気が付いてしまった。気が付くと聞かずには居られない。

「このオレンジ,オーガニック(無農薬)だった?」

奧さんの答えはNO。農薬をしっかり使ったオレンジだった。。
オーガニックも探せば無いこともないけど,まず見つからないし食費2万円では買えないと。
…確かにその通りだ。うちの食費では1つ200円のオレンジには手が届かない。

皮まで食べる林檎とは違い,皮を食べない果物の皮の部分への農薬の使用量は半端じゃない。
そこへの農家の人の意識は当然ながら低いだろう。

ゆき坊さんが一生懸命煮込んで作ったジャム。この中に体に悪い物が入っているなんて。
自分なら我慢して食べればいいけど,可愛い我が子にこれを食べさせることが出来るか?
悔しさがこみ上げてきた。

こうなったときにみなさんならどう行動するだろうか。
1つ目の選択肢はオーガニックなものをお店で買い続ける。…しかし現実にお金が無い。
2つ目の選択肢は食べるのを我慢する。…そんなつまらない人生は嫌だし無理だ。

答えはすぐに出た。第三の道。単純明快でシンプルな選択肢。
そう,それは自分で作ってしまうことである。
無農薬の無化学肥料で作ってやろうじゃないか。そして家族で腹一杯食べて,
食べきれない分はジャムなどの保存食にして1年中楽しむんだ。

これが私が果樹も作ってみようと思った理由である。


ちなみに今,そらいろ農園ではきんかん,オレンジ,プルーン,すもも,
ブルーベリー,クランベリー,梅,柿,栗,林檎,柚などの果樹を植えてみてる。

桃栗三年柿八年。
まだまだ先の長~い話なのだけど,だけど3年後には栗が,そして
8年後には柿が食べられるのだから早く植えておかない手はない。


収穫量は少ないかも知れないけど,農薬を使うくらいなら収穫なんて無くてもいいのだ。
私や息子が安心して皮ごとかじりつける果物を作りたい。望むのはそれだけ。
駄目だったらまた来年。駄目だったらまた来年。いろいろ試しながら待ってみるつもり。

いつか収穫出来て自信が付いてきたら販売もさせて頂こうと思いますので,
その際にはそらいろ農園のおいしい果物もどうかお試し下さいね。

2011年7月13日

自然のありがたみを自分の畑で体感する

(長野で散歩中の私と息子。撮影はゆき坊さん)

ご無沙汰してしまっております,あべっちです。
福島原発事故以来,土を汚された農家として,また小さな子を持つ親として
毎日悩み苦しみ葛藤が続いてます。

今すぐに原発を止めたとしても,人類がまきちらかした放射線が無くなるのは
プルトニウム239の半減期を考えた場合,3%にまで減るのは12万年後。
気が遠くなるような年数です。刀持って歩いてた江戸時代ですら200年前ですから。

孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の代にも私たちが汚染した土や
水,海,そして大量の放射性廃棄物が残り,人間とその他の生き物を苦しめます。
だから今こそ脱原発を目指し,長い時間をかけて地球に罪滅ぼしをしていきましょう。

…なぁんて脱原発のことだけを書いていても前には進めません。
来年から家族が食っていくには今私がやってることを知ってもらうのも大切。
そんなわけで今回は週末に長野の畑に行って感じたことのお話をさせてください。

さて,私たちが買った長野の畑は標高700mの山の上。そんなわけで夏は最高にGOOD!
蚊が少ない環境のおかげで農作業を「Tシャツに短パン,頭には麦わら帽」という
関東では考えられないシンプルなカッコで出来るのが嬉しい。
ある程度涼しいからこそ,畑で頑張ってると家族が手伝いに来てくれるわけで。

シシトウとネギとマリーゴールドと背後の雑草。どれも輝いて見えた。

★今回がんばった作業は以下の通り。
・生物多様性を考えた簡単な草刈り
・夏野菜,果樹などに液肥と鶏糞などを追肥
・支柱立てと誘因
・トマトの根出しした脇芽の植え付け8本。
・ダイコン,ハクサイ,大豆,小豆などの種まき

今回もクワ1本の汗だくの作業だったけどそれぞれの作業で学びがあった。
内容が濃くて書ききれないので詳細はまた別の記事で熱く語りたい。

ともあれ,畑を見てみると・・・
地面にはアマカエル,バッタ,コウロギの赤ちゃんがぴょんぴょん。
空中では見たこともない綺麗なチョウチョが飛び交い,クモが巣を張りめぐらし。
畝つくりの時には土の中ではフトミミズもたくさん居た。

生き物といっても目に見えるやつらだけじゃない。
空気中や土中の微生物が自然の形で自然にそこに居ることが大切なんだ。
彼らは水や空気,そして栄養分まで補い合って共存してる。

雑草に埋もれていたバジルの葉っぱ。だけど1枚もかじられてないのが驚き。   

本に書かれていた「夢のような話」が自分の畑で再現されていた。
草ボウボウで植えっぱなし。だけど野菜はやられてない。
信じられない話だと思う。だけど本当の話。だから感動したのだ。

大きく育っていたピーマンもめちゃ綺麗。もちろんこれも無農薬で無科学肥料
千葉の畑で苦労してきたことが嘘のようにこちらでは解決している。
それを証拠に手間暇をかけてる千葉の畑の方が害虫にやられているじゃないか。

私は最初,長野の土が素晴らしいと思ったけどそれは違っていた。
土は肥えてなど居なかった。ミミズも大して居なかった。
ただ厳しい自然の中だから害虫が少ないというだけだったのだ。

全国どこでもどんな土でも,自然農は実現出来るだろう。
灼熱の千葉県なんて自然な農法が助けてくれることも多いはずだ。

日々勉強,成長の毎日。
もっとたくさん,もっと早く,規模の拡大,楽がしたい…そんな焦りや欲を取り払えたら,
本当においしい野菜を作るのは難しいことじゃないかもしれない。

そんなわけで頑張っておりますので,
私の人生そのものであるそらいろ農園をどうかよろしくお願いいたします。

収穫したししとうを使ったぴりっと辛い炒め物と収穫した胡瓜を味噌をつけてモロキュウ。